のんあるブログ

しばらくノンアルコール生活です。

妊娠してから読んだ本 -1

妊娠がわかって「ブログでも書いてみるか!」と思い立ったものの、ちょっと書いたままでそのまま放置になってしまい、気づけば妊娠38週です。

見てる人はほとんどいないと思うけど、もしいたら「流産したのでは・・・」

って思われてたかもね。すみません。

 

さて、妊娠してからは読書もマタニティ系に寄ってきました。

いろいろ読んだ中で面白かったもの、つまんなかったものを書き留めておこうと思います。

 

ナニカアル (新潮文庫)

桐野夏生が想像で書いた、「林芙美子が養子にもらった子どもが、もし本人と愛人との間にできた子だったとしたら」という話。芙美子がいくらもともとぽっちゃり体型だったとしても、妊娠を隠したまま10ヶ月近くも現夫と一緒に暮らし、いざ産まれる時になったらちょいと姿をくらまして「この子を拾ってきました~」と赤ちゃん連れで家に戻るのは、いくらなんでも・・・と思う。とはいえ、戦時中で窮乏する最中に子どもを拾ってくるのは不自然→実は本人の子どもだったのだ! という発想はあながち嘘ではないかも・・・という気にもさせられます。桐野作品でおなじみの、現実にあった話をベースに巧みな空想ストーリーを混ぜてくるところ、今回も素晴らしいです。読み終わった後に、wikipediaで事実とフィクションをひとつひとつ検証していくのも楽しい作業。

 

さてこの話で一番うらやましいというか、いいなーと思うのは、妊娠しているのに平気で煙草を吸い、お酒を飲むところ!芙美子は一応「前よりおいしくなくなった」とは感じているらしいものの、特に我慢したりはしません。おおらかな昔がちょっとうらやましくなってしまう小説です。

 

マンガで読む 妊娠・出産の予習BOOK

よくあるコミックエッセイだけど、amazonレビュー星5つなだけあって、さらっと読めておもしろい。毒づき要素がないのはつまんないけど、「出産って素晴らしい!」な過度な出産賛歌本でもない。妊娠初期に一度読んだ時は「出産ってやっぱり痛そうだな~」みたいな感想しかなかったものの、正産期に入ってからまた読みなおしてみると、ベビーベッドをどうするか、などの最初とは別の話題に食いついている自分が面白かった。

ママだって、人間

女児の性器にも呼びやすい愛称を!と毎日新聞のコラムで力説していたのも記憶に新しい、田房永子さんの本。やはり下ネタ系が多いのだけど、他の人が気づかないフリをしてきた細かい部分にフォーカスし、「こんな大事なこと、スルーしちゃダメでしょ!」と注意喚起する彼女の姿勢、とても好きです。ただ全体的に社会的メッセージが強すぎて、「母になる喜び」的なのほほんエピソードをほとんど扱っていないのにびっくりしました。まあ、そんなの他の人がくさるほど書いてるから、田房さんは書かなくてもいいんだけどね。

近所にこんなママ友がいたら楽しそうだな~

■ きみは赤ちゃん

妊娠中の性欲や、子育てで感じたジェンダー問題などが満載の「ママだって人間」でちょっとお腹いっぱいになった後に読んだのが、川上未映子さんのこの本。で、私はこの本が一番フィットしました!

妊娠中の喜びだけでなく、女でなくなることへの戸惑いや不安について、赤裸々な描写も交えて丁寧に描いています。そして妊娠中の残念な体の変化についての描写の巧みさは、やはり芥川賞作家。「妊娠中の乳首は、電源を消した時の液晶テレビのように真っ黒」「母乳を与えた後の乳房は、しぼんだナンのよう」など、うなる例えがどんどん出てきます。

夫婦ともに人気作家の川上さんなので、暮らし向きはさぞや良いのだろうなーって気になりますが、本の中で出てくる生活面の描写が等身大なのも良かったです。

一番良かった場面は、生まれてきた赤ちゃんをベビーカーに乗せて散歩している時に空を見上げ、「自分の母親も自分を抱いて、同じ風景を見てきたんだろうな」と思いを馳せるシーン。

私も妊娠していて強く感じるのは、何千年、何億年も前から、一人も絶えることなく子どもを産み続けてきたから、私が存在しているんだなーという事実。数多いるご先祖様に感謝しつつ、自分自身も「受け継いだDNAを一世代先まで伸ばすことができた!」「私の子どもは普通にいけば22世紀まで生きる!」ということでちょっと興奮しています。